安い物件が実は失敗で、高い物件が静かに他の資産をすべて上回ることもある。両者を見分けるのが利回りという数字だ。計算そのものは30秒で終わる。それでも海外の買い手の多くが計算を誤る。理由は単純で、販売資料に印刷される利回りと、実際に銀行口座に振り込まれる利回りは別物だからだ。
本稿では表面利回りと実質利回りの両方を、ひとつの例で通して説明する。南欧の海岸沿いにある20万ユーロのアパートを、月1,000ユーロで貸し出すケースだ。数字自体は仮のものだが、それを取り巻くコスト項目は仮ではない。海外オーナーが実際に支払っているものだ。
利回りが教えてくれること、教えてくれないこと
利回りとは、年間の家賃収入を物件価格に対する割合で表したものにすぎない。問いはひとつだけ、その資金が賃貸としてどれだけ働いているか、である。
値上がりするかどうかは何も語らない。住宅ローンも無視する。測っているのは資産そのものであって、資金調達方法ではないからだ。屋根が雨漏りしていて修繕積立金が空だという事実も教えてくれない。利回りはあくまで選別のための道具と考えるべきだ。バトゥミのフラットとパフォスのタウンハウスを同じ物差しに乗せ、どちらをじっくり検討すべきかを示してくれる。
パーセントという形式が重要なのは、不動産を他のあらゆる資産と比較可能にするからだ。銀行預金は利子を払い、債券はクーポンを払い、賃貸物件は利回りを払う。三者が同じ言語で話すようになれば、本当に問うべき問いがひとつ残る。テナント対応という余分な手間を差し引いても、この資金の置き場所としてここが最善なのか、という問いだ。
表面利回り:5秒でできる計算
年間家賃を購入価格で割り、100を掛ける。それだけだ。
例のアパートは価格20万ユーロ、月1,000ユーロの家賃で年間12,000ユーロ。12,000を200,000で割ると0.06。表面利回りは6%になる。
不動産会社やポータルサイトが表面利回りを提示するのは、計算が速く、物件を魅力的に見せられるからだ。それ自体は悪くない。午後のうちに20件の物件をざっと比較するには十分役立つ。ただし、その数字を実際に手元に残る金額だと勘違いしないこと。6%と自分の口座のあいだには、別の国から物件を運営するためのあらゆるコストが横たわっている。
実質利回り:請求書を払ってくれる数字
実質利回りは同じ計算式を使うが、先に運営コストを家賃から差し引く。例のアパートで現実的な1年をシミュレーションしてみよう。
まず空室から。テナントは出ていき、契約の合間に部屋が空くものだ。年に1か月の空室はほとんどの市場で妥当な想定である。これだけで、回収できる家賃は12,000ユーロから11,000ユーロに減る。請求書はまだ一枚も届いていない段階でだ。
次に費用の内訳だ。
- 物件管理費(回収家賃の10%):1,100ユーロ
- プール・エレベーター・庭園のための共益費:1,800ユーロ
- 固定資産税および自治体の諸費用:400ユーロ
- オーナー向け保険:250ユーロ
- 修繕・交換費用(好調な年と不調な年を均した平均):600ユーロ
- 賃貸税の申告を頼む現地の会計士:300ユーロ
ちなみに管理費の項目は、別の国に住んでいる限り省けるものではない。鍵の受け渡し、話せない言語での家賃滞納の督促、火曜の朝に配管業者を入れる立ち会いなど、誰かがやらなければならない。長期契約で10%というのは、毎回現地に飛ばなくて済む対価としては標準的な水準だ。
費用の合計は4,450ユーロ。回収家賃11,000ユーロからこれを差し引くと、純収入は6,550ユーロ。これを20万ユーロの価格で割ると、実質利回りはおよそ3.3%になる。
厳密に言えば、価格だけでなく実際に支出した総額で割るべきだ。移転税、弁護士費用、最低限の家具代を足せば、20万ユーロの購入は容易に215,000ユーロまで膨らむ。その数字を基準にすると、実質利回りは3%をわずかに超える程度まで落ちる。
販売資料の数字のちょうど半分だ。しかもこのシナリオでは何一つ問題は起きていない。給湯器の故障もテナントとの揉め事もなく、外壁塗装のための共益費の臨時徴収もない。
表面利回りは物件の数字。実質利回りはあなた自身の数字だ。
海外オーナーが見落としがちなコスト
ここまでの一覧は、ごく普通の建物での普通の1年をカバーしている。海外から所有する場合は、独自の費目がさらに加わる。そして初めて海外物件を買う人が見落とすのは、まさにそこだ。
為替の両替は静かに効いてくる項目だ。ユーロやラリで回収した家賃をポンドやドルで使う場合、通常の銀行経由の送金では1回ごとに1〜2%が消える。マルチカレンシー口座を使えば軽減できるが、ゼロにはならない。為替レートの変動はさらに深く効く。現地通貨建ての利回り自体は動かないが、実際に生活の足しにするリターンはどちらの方向にも振れる。10年単位で見れば、レートの動きが家賃そのものより大きな要因になることもある。
次に非居住者向けの所得税。ほとんどの国は自国内で得た家賃収入に課税し、非居住者は現地居住者より控除が少ないこともある。市場によっては、賃貸を始める前に賃貸ライセンスや登録番号を求められ、手数料と書類作業が伴う。休暇客向けに家具を揃える場合は、数年ごとにマットレスやソファ、小型家電を買い替える予算も見ておくこと。短期滞在の消耗は激しい。物件を見に行くための航空券代も、正直に計上しておこう。
ひとつひとつは大した金額ではない。だが積み重なると、誠実な利回り表が3行ではなく15行になる理由になる。
実質利回りが弱いとき、どこを立て直せるか
実質利回りが薄いことは、必ずしも物件そのものへの判定ではない。運営の仕方への判定であることも多く、そこは自分でコントロールできる。
まず家賃から。海外オーナーはしばしば家賃を安く設定したままにしてしまう。購入時に一度決めた金額を、その後見直さないからだ。契約更新のたびに現地のポータルサイトを確認し、去年の契約ではなく今の市場価格に合わせて値付けする。エリアによっては、きちんとした水準まで家具を整えると、家具店に一度足を運ぶコストを回収できるだけのプレミアムが乗る。
次に費用。保険は更新時に他社見積もりと比較すれば安くなる。管理費は、複数戸を所有するか長期契約を約束すれば交渉の余地が生まれる。そして最も高くつく項目である空室は、写真をきちんと撮り、早めに募集をかけ、正直な価格で出せば縮小する。前の入居者が出る前の1週間の広告活動は、その後1か月の沈黙より価値がある。
直せないのは購入価格の失敗だ。上記のどのレバーも利回りを小数点以下のレベルでしか動かさない。良い価格で買うことは利回りを整数単位で動かす。だからこそ、表計算ソフトが最も重要になるのは公証人との契約後ではなく、その前なのだ。
利回りか値上がりか:どちらを狙うか決める
利回りはトータルリターンの半分にすぎない。もう半分は物件価値の動きであり、両者が同じ場所でピークを迎えることはめったにない。
価格に対する家賃が最も強いエリアは、往々にして値上がりがゆるやかな地域だ。中心部からやや外れた地区、築年数の経った物件、規模の小さい都市がそれにあたる。一等地はその逆で、賃貸利回りは薄いが、値上がりして転売しやすい資産になる。どちらが正しいというわけではない。生活のために毎月の収入が必要な買い手には前者が向く。10年間資金を寝かせておくだけでいい買い手は、後者を選んでも問題ない。
物件を比較する前に、自分がどちらのエンジンを買おうとしているのか決めておくこと。一等地の海沿い物件の「がっかりする」利回りは、まさに正しい買い物であることがあり、逆に縮小する工業都市での華々しい利回りは、その建物が最後に迎えるいい年である場合もある。
短期貸しと長期貸し
バケーションレンタルは12か月契約より高い見かけの収入をもたらす。ビーチやスキーリゾートでは、その差が劇的になることもある。ただし落とし穴として、表面利回りと実質利回りの差はさらに大きく開く。
短期滞在のゲストはチェックアウトのたびに清掃が発生し、予約プラットフォームへの手数料が乗り、公共料金は自分で支払うことになり、寝具からフライパンまであらゆるものの消耗が早まる。深夜11時の「鍵をなくした」という電話に誰かが対応しなければならない以上、管理費用は長期貸しの何倍にもなる。稼働率は季節で大きく揺れ、8月は満室だったフラットが11月にはほとんど空いたままということもある。
もうひとつの変動要因は規制だ。ヨーロッパの都市の多くが短期滞在ライセンスに上限を設けたり、掲載ごとに登録番号を義務付けたりしており、そのルールは購入判断より速いペースで変わる。長期貸しは表向きの収入は少ないが、その分を手元に残しやすい。契約はひとつ、支払いは年12回で読みやすい。どちらのモデルを選ぶにせよ実質利回りの計算をして比較し、短期貸しの試算にはオフシーズンの稼働率を使うこと。7月の数字を使ってはいけない。
市場によって利回りはどう変わるか
同じ計算式でも、どこに当てはめるかでまったく違う結果が出る。
スペイン、ポルトガル、キプロス、イタリア沿岸部といったEUの成熟した沿岸市場は、参入価格が高い一方でテナント需要が厚く安定している。そこでの利回りは薄くなりがちだが、買い手は法的な確実性と売却のしやすさと引き換えにそれを受け入れる。新興市場はこの比率が逆転する。参入価格が低い分、見かけの利回りは高くなる。ジョージアはその好例で、1日で完了する所有権登記と低い保有コストが魅力だが、為替リスクを抱え、売却時の買い手候補も限られる。
税制も家賃と同じくらい実質利回りを左右する。ドバイは居住用物件の年間固定資産税がゼロで、これが表面利回りと実質利回りの差が欧州の大半より小さい理由だ。とはいえ管理付きタワーのサービス料は建物ごとに幅があり、依然として発生する。収入を最優先するなら、この一点だけでもUAEを真剣に検討する価値がある。教訓として持ち帰れるのは、同じ表面利回りの二つの市場でも、現地の税金と手数料が働いた後の実質利回りはまったく異なりうるということだ。
利回りの罠:数字が餌になるとき
提示されるためだけに作られた利回りも存在する。
典型が「保証利回り」だ。デベロッパーが最初の2年間、たとえば7%の固定リターンを約束する。気前よく聞こえる。だがその物件の平米単価を、近隣の同等の中古物件と照らし合わせてみるといい。こうしたスキームの多くでは、保証分がそもそも割高な価格に組み込まれている。つまり自分のお金をスケジュールに沿って返してもらっているだけということになる。誠実な試金石は3年目、保証が切れてアパートが市場家賃で稼がなければならなくなったときだ。同等の部屋が今いくらで貸されているかを、あなたに物件を売っているのではない誰かから、書面で確認しよう。
未完成物件の収益予測も同じ疑いを持って見るべきだ。ピークシーズンの1泊単価や、ほぼ満室の稼働率、今日のコスト水準を前提にしていることが多く、しかもその建物は2年後にようやく最初のゲストを迎える。売り手には、比較可能な完成済みプロジェクトの実際の運営実績を求めよう。それが存在しないなら、現地の掲載ポータルから自分で数字を組み立て、パンフレットの想定ではなく地味なシナリオを使うこと。
だからといって高い利回りがすべて偽物というわけではない。誰かに手渡された利回りはマーケティングであり、自分で計算した利回りは分析だということだ。本稿の計算に必要なのは家賃、価格、そして正直なコスト項目だけ。表計算ソフトを開きながらHomeNSearchのカタログを眺めてみれば、一晩でその違いが見えてくるはずだ。
よくある質問
海外不動産にとって「良い利回り」とはどのくらいか
万能の基準値は存在しない。ひとつの数字を持ち出す相手には警戒したほうがいい。実質利回りは、その市場で現地の大家が受け入れている水準、借入をするなら資金調達コスト、そして同じ資金を自国の退屈な債券に置いた場合のリターンと比べるべきだ。現地水準を大きく上回る利回りは、飛びつく賞品ではなく調べるべき疑問である。
利回りは購入価格で計算すべきか、総コストで計算すべきか
両方計算し、はっきりラベルを付けること。価格ベースの利回りは広告の数字と比較するのに使える。価格に税金・弁護士費用・家具代を足した「投じた総資金」に対する利回りは、実際に資金がどれだけ稼いでいるかを示す。判断を左右すべきは後者の数字だ。
住宅ローンの返済は実質利回りの計算に含めるべきか
含めない。利回りは物件を測るもので、返済条件は自分の取引条件を測るものだ。ローンで購入する場合は、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン、つまりローン返済後の年間純収入を自己資金で割った数字も別に計算すべきだ。利回りが同じ二つの物件でも、キャッシュ・オン・キャッシュの結果はまったく異なりうる。
為替レートは家賃収益にどう影響するか
現地通貨建ての利回り自体は変わらないが、自国で受け取る実質リターンはレートとともにどちらの方向にも動く。両替のたびに、通常の銀行経由では1〜2%を失うことも多い。マルチカレンシー口座を使い、送金の回数を減らして一回あたりの金額を大きくすることで、家賃をより多く手元に残せる。



