10年前なら、クーカキの空き部屋を写真に撮ってAirbnbに載せれば、その週のうちに最初の予約が入った。誰も何も確認しなかった。そんなギリシャはもう存在しない。今の国は、ヨーロッパでも指折りの厳格な民泊制度を運用している。物件ごとの登録番号、実効性のある安全法、アテネ中心部での登録凍結、そして2026年5月に施行されるEU規則は、未登録の掲載を主要プラットフォームから一斉に排除する。
購入を検討している人にとって重要なのはここだ。市場そのものは健全である。ギリシャの観光は記録を更新し続け、7月・8月の島の稼働率は地中海のほとんどの地域を圧倒し、合法で保険付き、登録済みの物件が生む収益は以前とほぼ変わらない。増えたのは固定の事務コストだけだ。この規制が痛手になるのは、その場しのぎで済ませようとした人たちである。
本稿では、2026年時点で法律が実際に何を求めているか、遵守にいくらかかるか、規制がどこで最も厳しく効くか、そして12か月契約の長期賃貸に切り替えたほうがいいのはどんな場合かを見ていく。
AMA番号:登録なくして掲載なし
ギリシャで民泊として提供される物件はすべて、ギリシャ税務当局AADEのオンラインシステムを通じて発行されるAMAという登録番号を必要とする。登録はホストごとではなく物件ごとに行い、その番号はAirbnb、Booking.com、Vrbo、自社サイトなど、公開するすべての掲載ページに表示しなければならない。AMAが見当たらない広告はそれだけで違法であり、査察官はわざわざ部屋を訪れなくても、掲載ページを読むだけで見抜ける。
登録手続き自体は難しくない。オンラインで完結し、ギリシャの納税者番号に紐づき、地元の会計士が年次申告と一緒に安い料金で代行してくれることが多い。オーナーがつまずくのは、登録によって何を約束したことになるかという点だ。宿泊はすべてAADEの民泊登録システムに申告しなければならない。プラットフォーム側も総収入を独自に税務当局へ報告するため、両方のデータは突き合わされる。Airbnbが報告した金額と自己申告額が食い違うことが、監査を招く最も一般的な原因の一つだ。
外国人オーナーは、この手続き以前にギリシャの納税者番号(AFM)を取得しておく必要がある。弁護士を通じて物件を購入したなら、購入手続き自体に必須だったはずなので、すでに取得済みのはずだ。
法律5170/2025:品質と安全の基準
かつては登録さえ済ませればそれで終わりだった。法律5170/2025の施行後は、登録は入場券にすぎない。この法律は、登録済みの民泊すべてが満たすべき最低基準を定め、査察官に掲載ページの番号以上の具体的なチェック項目をようやく与えた。
主な要件は次のとおりだ。
- ギリシャで営業許可を持つ保険会社が発行する、ゲストを対象とした賠償責任保険
- 設置され、実際に作動する消火器と煙感知器(戸棚に未開封のまま置かれているだけでは不可)
- 有資格の電気技師が署名した電気設備の安全証明書
- 認定業者による害虫駆除の証明書
- 自然光と換気を備え、住居として適切と認められる空間(スタジオを装った地下室や倉庫は認められない)
- 非常口と緊急連絡先を記載した、ゲスト向けの緊急案内書
特に珍しい要件ではない。小さなゲストハウスが昔から求められてきたことを、アパート規模に縮小しただけだ。ここ20年ほどの間に建てられた、あるいは改装された物件なら、技術者を二人と保険代理店を一人手配すれば基準はほぼ満たせる。古い島の家屋は本格的な工事が必要になることもあり、たいてい電気配線まわりだ。配線が会計士より年季の入っている物件を買うなら、その費用は見積もりに織り込んでおく価値がある。
外国人オーナーが最もよくつまずくのが保険だ。証券はギリシャの認可を受けた保険会社のものでなければならない。ミュンヘンやマンチェスターの自宅にかけている家財保険は、賠償範囲がいくら手厚くても対象外になる。
査察と罰金
取り締まりはもはや机上の話ではない。査察官は実際に訪問し、罰金は意図的に段階を踏んで重くなる。初回でも痛手、再犯なら数倍、最高額になれば一シーズン分どころの収益を軽く超える。AMAをまったく取得していない場合が最も重い区分に該当する。理屈は明快だ。ギリシャは民泊を禁止したいわけではなく、違反が明らかに割に合わないと分からせたいだけだ。
覚えておくと便利な目安がある。完全に遵守した場合の年間コストは数百ユーロと若干の一回限りの証明書代で済む。それを怠って摘発されれば、アテネの2ベッドルーム物件の年間総収入を上回る額を失いかねない。書類仕事を省いて得をする計算は、どう転んでも成り立たない。
アテネの凍結措置、そしてテッサロニキから目が離せない理由
アテネのAirbnbブームを最も吸収した中心部の密集地区では、政府が新規のAMA登録を凍結している。そこにある物件で、まだ番号を持っていなければ、凍結が続く限り取得できない。理屈はバルセロナやリスボンと同じだ。地元住民が住まいを探し回る一方で、建物ごとまるごとキーボックス式のホテルに転じ、中心街が通り単位で空洞化していった。
既存の登録は引き続き有効であり、それが興味深い副作用を生んでいる。凍結区域の中にありながら有効なAMAが付いたフラットは、いまやプレミア価格で取引される。番号そのものが希少な資産になったからだ。「稼働中の民泊登録あり」とアテネ中心部の物件広告に書かれていれば、それは台所を見る前から価格について何かを語っている。
買い手にとって結論は二つある。第一に、アテネ中心部の物件なら短期貸しできるはずだと決して思い込まないこと。どの地区にあるか、登録がすでに存在するか、それが売買後も引き継がれるかを確認し、弁護士にこの三点を書面で確認させること。第二に、テッサロニキから目を離さないこと。アテネで凍結を招いた圧力はそこにも存在し、似たような制限が続いても、ギリシャ市場の誰も驚かないだろう。ギリシャ第二の都市の中心部を、Airbnb収入だけを目当てに購入するのは、規制が今のまま動かないほうに賭けることに等しい。最近はそうなっていない。
これらの区域を除けば、島でも沿岸部でも国内のほとんどの地域でも、登録は開いたままで、上記の全国基準がルールブックのすべてだ。
数軒のフラットか、それとも事業か:境界線に注意
ギリシャの法律は、物件を一つか二つひっそり貸している個人と、実質的に宿泊事業を営んでいる者との間に線を引く。境界線の内側にいる限り、個人として賃貸収入を申告すればよく、生活は比較的単純なままだ。それを超えると、国はその活動を事業とみなす。事業登録、付加価値税、宿泊税、そしてそれに伴う帳簿管理が必要になる。
この線がどこに引かれるかは年々変わってきており、何軒貸しているか、運営体制がどうなっているかにも左右されるので、規模を広げる前に会計士に相談すべき問題だと考えておくといい。覚えておくべき傾向は単純だ。1、2軒なら簡易な制度で済む。ポートフォリオを築けば、ギリシャはあなたにホテル業者らしく振る舞うことを期待する。多くの外国人オーナーがこの線引きを後から気づかされ、遡って課される付加価値税ほど歓迎されない通知はない。
収入への課税の仕組み
簡易制度の下にある個人の場合、民泊収入は累進税率で課税される。最初の階層は緩やかで、年間合計が増えるにつれて税率も上がる。ギリシャはまた、宿泊客から少額の気候対策税を徴収しており、夏場は税額が上がる。これはホストが徴収して国に納める。収入は毎年申告する必要があり、プラットフォームがすでに総収入をAADEに報告しているため、自己申告額はそれと一致していなければならない。
大半の買い手の母国はギリシャと二重課税防止条約を結んでいるため、同じ所得が二重に全額課税されることはないが、居住地がどこであれギリシャでの申告義務は発生する。民泊業務に慣れた会計士なら年間サイクルを丸ごと引き受けてくれ、費用は年に数百ユーロほどが相場だ。食い違いや申告漏れを防いでくれる分を考えれば、予算の中で削るべき最後の項目だろう。
初日から身につけておくべき習慣がもう一つある。領収書はすべて保管すること。証明書、保険、清掃、修繕、会計士報酬。その一部は課税対象所得を減らしてくれるし、すべてが後日AADEから問い合わせがあった際の答えになる。
2026年5月:遵守は選択肢ではなくなる
これまでは、取り締まりはギリシャ当局が見つけるかどうかにかかっていた。2026年5月からは、EUの民泊規則が仕組みそのものを変える。EU域内で営業するプラットフォームは登録番号を収集し、公式の登録簿と照合し、確認に通らない掲載を削除しなければならない。予約データは、加盟国すべてで同じ標準スケジュールに沿って、プラットフォームから当局へ流れる。
これを未登録ホストの視点から読んでみるといい。ドアをノックされることはない。掲載ページはただ、同じ週のうちにAirbnbやBooking.comから消える。何年もかけて築いたレビュー履歴や予約カレンダーごとだ。その場しのぎの不遵守を生き延びさせてきたグレーゾーンは、プラットフォーム側から締め出されつつある。すでにAADE経由で登録システムを動かしているギリシャは、この切り替えをきれいに行える国の一つだ。短期貸しを見据えて購入するなら、2026年に取り得る唯一の賢明な計画は、初日からの完全登録である。
ゴールデンビザ購入者へ:その物件はAirbnbにできない
一つのルールが、投資家をたびたび不意打ちしており、独立して取り上げる価値がある。ギリシャのゴールデンビザ制度で、2024年以降の規則の下で購入した物件は、民泊に使うことができない。この禁止は制度そのものに書き込まれており、違反すれば多額の罰金と居住許可の双方を失うリスクを負う。ゴールデンビザはもはや利回り商品ではなく、居住権そのものを目的とした商品であり、ギリシャ当局はその本気度を明言してきた。
ギリシャの居住許可とAirbnb収入の両方が欲しいなら、実務的な構成は物件を分けることだ。一軒はビザ取得のために、もう一軒は制度の外で購入し、収益を稼がせる。居住権に関心がないなら、この話はまったく関係なく、通常の購入には上記以外の短期貸し制限は一切かからない。地域ごとの投資基準額については、ギリシャの物件購入エリアガイドで詳しく地図化しており、本稿と合わせて読むと役に立つ。
短期貸しがまだうまくいく場所
見出しの騒がしさを取り除いてみると、地図の大半はまだ緑のままだ。アテネの凍結はある一つの都市の、中心部のごく一部の地区に限られる。それ以外の場所では、ギリシャの民泊をそもそも魅力的にしてきたモデルが今も動いている。強い夏、年々わずかに長くなるショルダーシーズン、そしてスペインやポルトガル、南フランスの同等の海岸線より明らかに安い購入価格だ。
本当の意味でシーズンがある島々が稼ぎ頭になる。クレタ島、ロードス島、コルフ島は20週を超える予約可能期間と、通年運航の空港を提供する。にぎやかなキクラデス諸島は、短い期間に驚くほどの一泊単価を詰め込む。ペロポネソス半島の沿岸部やハルキディキは、ピーク期の集中度を犠牲にする代わりに、はるかに安い参入コストと成長中の国内需要を得られる。凍結区域の外であれば、アテネですら機能する。島々が眠りにつく2月に都市需要があるという独自の強みまである。HomeNSearchのギリシャ物件を見てみると、その幅がよく分かる。同じ予算で、立地の悪いスタジオも買えれば、海の見える二寝室の村の家に、まだ登録が可能な区域という付加価値がついた物件も買える。
遵守コストの実際
では、規則を守るには実際いくらかかるのか。典型的なアパートの場合、賠償責任保険は年に数百ユーロ。電気証明書と害虫駆除の書類は、一回限りか周期的な更新で、数百ユーロの低い側に収まる。感知器と消火器は取るに足らない一回きりの出費だ。会計士の費用を足すと、すべての証明書が揃った後の固定遵守コストは、年間1000ユーロを下回る水準に収まる。
これを収益と並べてみると、話は地域ごとに整理される。クレタ島のビーチタウン近くに位置の良い二寝室物件を持っていれば、長いシーズンを通じて総収入は数万ユーロ台半ばに達し得るので、遵守コストが占める割合は一桁台前半のごく低い水準に収まる。清掃、管理、プラットフォーム手数料は元々もっと大きな項目だった。一方、予約可能期間が14週しかない短シーズンの島では、同じ固定コストがずっと重くのしかかり、ぎりぎりの物件は証明書代を全部払い終えた時点で「まずまずの利回り」から「高くつく趣味」へと転落しかねない。規制がモデルを壊したわけではない。シーズンの長さにかかる賭け金を吊り上げただけだ。
仲介業者の予想数字だけを信じて何かを買う前に、すべてのコストを含めて自分で計算してみるべきだ。賃貸利回りの実際の仕組みを解説した記事では、その手順を、華やかな予想が静かに無視しているコストも含めて詳しく説明している。
代替案:長期賃貸
ときには、この仕組み全体を丸ごと避けるのが答えになる。12か月契約にはAMAも、ゲスト向け賠償責任保険も、宿泊税も要らず、アテネの凍結措置の影響も受けない。総収入は下がり、好立地の民泊に比べて3割から半分ほど低くなることも多いが、コストも空室期間も業務量も同じだけ下がる。ギリシャは短期貸しから長期賃貸への切り替えオーナーに税制優遇も用意しており、その差はさらに縮まる。特にアテネでは、テナント需要が根強く一定しているので効果が大きい。
凍結区域内にあり、譲渡可能なAMAを持たないフラットにとって、長期賃貸は次善策ではなく、それ自体が計画になる。それ以外の場所では、正直な比較基準として機能する。冬の12週の空室を無視して初めて長期契約に勝てるような短期貸しは、実のところ勝ってなどいない。
最初の予約前に確認すべきチェックリスト
- 購入時に取得していなければ、ギリシャの納税者番号(AFM)を取得する。
- 物件が凍結区域の外にあること、または既存のAMAが売買とともに有効に引き継がれることを確認する。
- AADEを通じて物件を登録し、AMAを取得する。
- ギリシャの認可を受けた保険会社から賠償責任保険を購入する。
- 煙感知器と消火器を設置し、電気安全証明書と害虫駆除証明書の発行を依頼する。
- 非常口と緊急連絡先を記載したゲスト向け緊急案内書を用意する。
- 最初の予約を受ける前に、すべてのプラットフォーム上のすべての掲載にAMAを表示する。
- 会計士を雇い、宿泊ごとにAADEの登録システムへ申告し、気候対策税を徴収する。
- 更新期限を管理する。保険は毎年、証明書はそれぞれの周期で。
これをすべて実行すれば、2026年5月はあなたにとって何も起きない日になる。半分でも省けば、同じ日が期限になる。
よくある質問
一部屋だけの貸し出しでもAMA番号は必要ですか、それとも物件全体だけですか
プラットフォームを通じて民泊として提供される宿泊施設はすべて、それ自体の登録が必要で、番号は掲載ページに表示しなければならない。この義務は広告に出す空間そのものに紐づくものであり、建物のうちどれだけの部分を所有しているかとは関係ない。
アテネ中心部で今も新規に民泊の許可を取ることはできますか
凍結区域内では、制限が続く限りできない。既存の登録はそこでも引き続き運営でき、だからこそ有効なAMAが付いた中心部のフラットが今プレミア価格で取引される。これらの区域の外、アテネの大部分や国内の他の地域では、登録は引き続き開いている。
2026年5月時点で自分の掲載に有効な番号がなければどうなりますか
EU規則により、プラットフォームは登録番号を確認し、確認に通らない掲載を削除する義務を負う。実際には、警告の手紙が来るのではなく、削除が先に起きると考えておくべきで、それに加えて未登録営業に対してギリシャ当局が課す罰金もかかってくる。
ゴールデンビザで購入した物件を短期貸しできますか
2024年以降の規則の下で購入したのであれば、できない。これらの物件の短期貸しは禁止されており、違反すれば多額の罰金と居住許可そのものの両方を失うリスクがある。制度の外で購入した物件には、そうした制限はない。



